ホーム » 企業 » たった35ドルのデザイン料だったナイキ

たった35ドルのデザイン料だったナイキ

学生が制作したロゴマーク

世界トップのスポーツメーカーであるナイキ。スポーツに疎い人でも、知らない人はいないであろう人気メーカーだ。
そして、シンプルなナイキのロゴマークは誰でも一度は見たことがあるだろう。ナイキのロゴはブランド確立にビジュアル要素が重要な役目を果たす一例といえる。
ナイキのロゴマークは釣り針のような流線型のロゴでおなじみだが、このロゴマークには「スウォッシュ」という名がついていて、1971年にグラフィックデザイナーであるキャロライン・デイビッドソンによって生み出された。
当時、ポートランド州立大学でグラフィックデザインを専攻していた学生だった時に制作したもので、躍動感やスピード感を表現しており、社名の由来となった女神ニケの翼をモチーフにしたといわれている。
制作費はわずか35ドルだったことも有名な話である。
なお、ナイキの創業者フィリップ・ナイトは、キャロラインが提出したロゴマークがどれも気に入らなかったそうだが、印刷の都合で早く決めなければいけないため、しぶしぶ選んだそうだ。

キャロラインへの恩を忘れなかったナイキ

大学卒業後、個人事務所を立ち上げたキャロラインは、引き続きナイキの広告デザインを担当していたが、躍進を遂げるナイキの仕事量に追いつけなくなる。
結果、別の広告会社に業務を譲渡し、すべてのナイキのデザイン業務から手を引くことになった。
その後、グローバル・スポーツアパレルメーカーとなったナイキ、そんな創業者のフィリップ・ナイトとナイキ幹部がキャロラインを食事へ誘う。
食事の目的はキャロラインへ感謝を伝えることであった。それだけではなく、サプライズプレゼントも用意。
キャロラインがデザインしたスウォッシュが刻まれたダイヤのついたゴールドの腕輪とナイキ社の株を贈ったのである。
プレゼントに驚いたキャロラインはこう話した。「私のデザインの報酬には十分すぎる」と。
しぶしぶ選んだものロゴマークが世界企業へと成長させたといって過言ではない逸話だ。35ドルで仕事を受けてくれたキャロラインに対して粋な恩返しといえるだろう。

デザイナーの憧れとなったロゴマーク

ナイキのロゴマークはデザイナーの憧れといわれている。
ロゴには文字と実在の物体、文字+αという組み合わせが多いのだが、ナイキのロゴマークはどれにも該当しないのに誰が見てもナイキとわかるからだ。
また、非常にシンプルなので、どのようなアレンジでもナイキとわかる点も優秀といえるポイントである。